穴観音古墳は、高佐盆地の中央部東域に張り出した山脚と独立丘陵間の南斜面に位置する方墳で、江戸時代末期に編さんされた「防長風土注進案」に既に「塚穴」として記載されており、早くからその所在が知られています。
その横穴式石室内には観音石仏がまつられ、耳の病気がよくなるという言い伝えがあり、最近でも火吹竹(ひふきだけ)を供えて耳の病気完治を祈願する参拝者が絶えません。
古墳の築造は6世紀から7世紀初頭(古墳時代)と見られ、横穴式の石室の上に四角い墳丘を築いた特色ある方墳で、県下では同型のものが3ヶ所しか残ってなく、時代的にも地域的にも他に類を見ない重要なものです。
※出土遺物
遺物としては、玄室(遺骸を納める部屋)内からは勾玉1点、羨道部(玄室への道)及び墳丘(盛り土)南西隅部から須恵器の破片がそれぞれ1点出土しています。また、墳丘築成の盛土を行った当時に混入した弥生式土器の破片や石鏃(石のやじり)がしゅつどしています。
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