●所在地/むつみ村吉部上奥野 |
この蛇送りは、室町時代の中期ごろから始まったと言い伝えられる。 ある夏の夜、牛を飼っている農家の門の前に17才〜18才の美しい娘が現れた。 ところが、その美しい娘が現れた農家の牛は、翌日になってもだえ苦しみ死んでしまったこうしたことが毎夜のごとく続くので、村人たちは鎮守様である 牟禮(むれ)神社(通称権現様)に祈願した。 すると、「我社より西南にあたりし ところに深い淵がある。ここに年輪を重ねた夫婦の大蛇が住んでいたが、病で夫の 大蛇が亡くなり、妻の大蛇がたいそう悲しみ、美しい娘の姿に化身して牛馬に とりつきたるものなり、毎年夏土用牛の日に麦わらにて夫の蛇姿を作り、この淵に 投げ入れてやれば牛馬の難を逃れることができる」と守のお告げがあった。 村人は 直ちに麦わらで蛇姿を作り淵に投げ入れたところ、その夜から娘が現れなくなり、 牛馬の難を逃れることができた。それから毎年夏土用の牛の日に麦わらや稲わらで 蛇姿を作り道路を練り歩き今の蛇淵に投げ入れる行事が続けられている。 |
この淵の名もこのころから「蛇淵(じゃぶち)」と言い伝えられたとのことである。 最近では、五穀豊穣の祈願を兼ね、「蛇送り」として行われている。 |